独立系がメーカー系と対抗するには技術の差別化が必要?
上流業務を行う企業への転職の夢が捨てきれない江水君。今回は巨大な「メーカー系」企業群と、差別化、独自化で勝ち残りを図る「独立系」企業群について学ぶことに。
[イノウ業界研究会,ITmedia]2008年09月22日 17時00分 更新
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0809/22/news003.html
江水光雄(えすい・みつお)
ABCソフトウェアサービスの新人SE。今時の若者だが、頼まれると断れない性格。でも、そんな自分がときどき少し嫌なメガネ男子。23歳。
冠里邦彦(かんり・くにひこ)
ABCソフトウェアサービスのプロマネ。駄ジャレ好きで気のいいオジさんだが、仕事には厳しい。お洒落を自認し、いつもベストを着用している。42歳。
冠里さん 前回は途中で時間切れになってしまい、すみませんでした。どこまで説明しましたっけ?
江水君 ユーザー系、外資系、そしてコンサル系までですよ。前回の説明では、富士通やNEC、CSKといったメジャーな企業の説明がありませんでした。
冠里さん それは今回、きちんと説明しますね。まずは前回の復習から。そもそも独立系、メーカー系とは、どのような企業でしょう?
江水君 独立系は、「特定の親会社を持たない独立独歩の企業群」、メーカー系は「かつてはコンピュータ製造がメインで、現在は情報サービスが主要な業務となりつつある企業群」かな?
冠里さん その通り! ではまず、どのような企業が独立系に分類されるのかを見てみましょう。
図1:IT業界地図(独立)
江水君 ……なんか、知っている名前から知らない名前まで、たくさんの企業がありますね。
冠里さん 独立系の特徴は、数が多いことです。ここで紹介しているのは基本的に上場企業だけですが、非上場の企業を含めると、数え切れないほどあります。
江水君 独立系の企業にはどのような特徴があるのでしょう?
冠里さん では「システム開発全般」を確認してみましょう。
図2:IT業界地図(独立+システム開発全般)
江水君 僕も知っている企業が出てきました!
冠里さん システム開発全般を手がける独立系の企業は、CSK、大塚商会、TIS、富士ソフトといった大企業がほとんどです。これらの多くは、メーカー系や外資系の下請け、事業会社への情報処理サービスの提供、ハードウェアの販売などから事業を始めて、徐々に成長してきました。かつてのベンチャー企業ですね。
江水君 「先輩、これまで頑張ってきたんですね!」といったところでしょうか。
冠里さん さらに独立系企業について勉強してみましょう。「パッケージ&サービス」で分類してみます。
図3:IT業界地図(独立+パッケージ&サービス)
江水君 意外と、パッケージやサービスを展開している企業が多いのですね。
冠里さん ある程度市場が成熟すると、新規参入の企業が大きくなるためには、競合他社と差別化しなくてはなりません。そのため、特化した技術やビジネスドメインに即したパッケージおよびサービスを提供するケースが多いのです。こうした企業は、規模のわりには知名度が高く、公開直後に株価が上がるケースも多いです。
江水君 まさに一獲千金の世界ですか~。
冠里さん 一方、ほかの業態のIT企業と手を組んで手堅いビジネスをしているのが、「ネットワーク&インフラ」や「派遣」などのサービスを提供する企業です。ネットワーク&インフラ系の企業は、一般ユーザーにはそれほど知名度は高くありませんが、経営状態は健全なところが多いようです。
江水君 では、独立系でありつつ、要件定義や設計といった上流業務を主要な事業にしている企業はないんですか? 僕もいつかは上流に行きたいと思っているのですが……
冠里さん また転職の話題ですか(笑)。いいでしょう。「上流&PM」という分類から分かるように、何社かはあります。
図4:IT業界地図(独立+上流&PM)
冠里さん ただし、上流の業務を手がける独立系企業が出てきたのは、比較的最近のこと。しかもこうした企業の多くは、“オブジェクト指向”や“PLM”など、自社が得意な領域を明確にしていることが多いのです。つまり、ここでも他社との差別化が重要になっています。
冠里さん では最後に、メーカー系です。
図5:IT業界地図(メーカー系)
江水君 NEC、富士通、日立製作所、そして東芝と……。あれ、たった4社だけですか?
冠里さん 正確には、NECグループ、富士通グループ、日立製作所グループ、東芝グループの4つです。どの企業をメーカー系に入れるかは人によって解釈が分かれることもありますが、メーカー系を「一定以上の規模で、コンピュータ(ハードウェア)を製造・販売しながら、情報サービス業も展開している国内企業」と定義すると、この4グループに絞られます。
江水君 どれも巨大グループですね……。
冠里さん これらの企業は情報サービス業だけを営んでいるわけではありません。特に日立や東芝は、家電やAV機器、そして原子力発電システムや医療機器など、その事業は幅広い分野におよんでいます。もちろんIT業界でも広い範囲をカバーしていますね。ただ、東芝グループだけは、子会社である東芝ソリューションや東芝情報システムがシステム開発業務を担当しているという点で、ほかの3グループと異なります。
江水君 では、残りの3グループは親会社自身も情報システム開発にかかわっているということですね。
冠里さん はい。ただし残り3グループも、グループ内での役割は分担しています。
図6:NECグループ企業の図
冠里さん NECグループには、システム開発全般、ネットワーク&インフラ、アウトソーシング&運用管理などを専門に手がける企業があるわけです。つまり、親会社が獲得した案件を、その内容に応じてグループ企業に回しているということです。
江水君 なるほど。たまには、ウチにも仕事を回して欲しいですね!