スキルを粉飾 実力以上の仕事に 目を白黒させる
厳しいIT業界でチャンスをつかむには、自分の実力を積極的にアピールすることが重要だ。だが、背伸びしすぎては、自分自身を窮地に追いやることがある。事実とかけ離れた“スキルの厚化粧”は、必ず露呈する。
http://www.nikkeibp.co.jp/news/it08q2/574633/
Aさん(32歳)はここしばらく、転職のチャンスをうかがっていた。今まで10年間、ベンダー企業のSEを務めてきたものの、会社の先行きに不安を感じ始めたからだ。
そんなAさんにチャンスが訪れたのは、2005年10月のこと。新聞で、食品加工大手M社の求人情報を見たのである。「業務改革に伴うシステム開発案件が目白押しで、経験者を急募している」とのことだった。Aさんはさっそく応募し、書類審査を突破。意気揚々と面接に臨んだ。
面接室には採用担当者のほか、システム室長であるB氏が座っていた。Aさんが自己紹介を終えると、B室長は矢継ぎ早に質問してきた。質問は、Aさんの職務経歴とスキルに集中していた。というのも、M社が求めているのは現場部門の意見集約やプロジェクトマネジメント業務を主体的に進められる人材だった。だが、Aさんは32歳とまだ若く、ユーザー企業での職務経験がなかったからだ。B室長は、Aさんが即戦力になるかどうか疑問視していた。
AさんはB室長の懸念を敏感に察知し、「私はこれまで、ユーザー企業のシステム開発に数多く携わってきました。現場部門の人たちとのコミュニケーションには自信があります。プロジェクトマネジメントに関しても経験を積んでいますので、貴社において必ず結果を出せると思います」と、力強くアピールした。