[業界人コラム]がんばれ!中国の営業マン
日本の某人気ドラマの主人公の警察官は、前職は企業向けにPCを売るトップ営業マンであった。そんな彼が、警察に転職した理由は、お客さんから、「もう来ないでいいよ、君が来るとみんなの仕事が進まないから」といわれたからである。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=0610&f=column_0610_002.shtml
最近、中国の若者の人気職業は、ソフトウェア・エンジニア、会計士、医者などらしい。中国でも営業マンのステータスは高くない。ITによる組織営業力の強化がもたらすものは、「だれがいつやっても同じ結果を生み出す仕組み」である。どんな人材でも、そこそこの戦力に仕上げることができるが、モラルと士気が低い場合、期待した効果が上がり難いことも事実である。ITやニンジンをぶら下げるだけでなく、モラルと士気を上げるために、自社の営業マンのステータスを確立する必要がある。
また、若者が企業を選ぶ条件として、第一は企業の発展性や給料であるが、個人の能力アップをサポートする研修や教育にも重きを置く。
そこで、日系企業では、ソリューション営業、ブリッジ営業、営業の仕組み作りのスキル養成が能力アップとステータスを上げるために、必要ではないかと思う。
(1)ソリューション営業
10年ほど前からいわれ始めた顧客志向の営業スタイルである。中国にも時々きらりと光る製品やサービスを持つ企業に出会う。しかし、フロントに立つ営業マンは、滔々と自社製品の優位性を述べ、こちらの要望には見向きもしない人が多い。本当にもったいないと思う。お客さんの悩みを解決するという営業のスタンスは、日本にだと当たり前だが、中国においては日系企業の強みであろう。
(2)ブリッジ営業
オフショア開発では、日本語が堪能で日本の商習慣や仕事の進め方を理解し、中国エンジニアと日本の発注者の橋渡しをする人材を“ブリッジSE”と呼ぶ。売掛金の回収リスクなどにより日系企業だけを顧客としていた企業も徐々に国内企業への営業を拡げていくことになる。中国人でも日本人でも、日系企業の営業マンは商材の特性と中国市場を理解し、ベンダーと顧客の橋渡しをする“ブリッジ営業”の能力が求められてくるであろう。
(3)営業の仕組み作り
上海や北京では、経営が行き詰っているオフショア開発会社がでてきている。人件費が高騰し、かつ、元の切り上げ、同業者の乱立による発注単価の低下により、採算が合わなくなりつつあるのである。このような企業は、上海、北京では顧客との要望を分析する要件定義や設計などの上流工程だけをおこない、それ以降の製造やテスト工程は、近郊都市に開発拠点を作ったり、アウトソーシングしている。
営業現場でも同様のことが起るであろう。一例として、某大手IT日系企業が、中国国内企業に対して、BtoCの電話営業代行業務を大々的に展開し始めた。営業もアウトソーシングの対象となる時代になってきたのだ。そこで必要になってくるものは、営業の現場を知り、かつ、「だれがいつやっても同じ結果を生み出す仕組み」を設計する能力である。さらに、その仕組みをITにより実現するイメージを持つものは時代の先端を行く高級営業マンとなろう。
私の回りにも、そのような能力を開花する人材が徐々に現れてきた。彼(彼女)らが、ITと営業を通して、中国と日本の橋渡しになるように期待すると共に、私自身もそうなるべく、中国でさらに精進したいと思う。
筆者:宮原武史(みやはらたけし) 、軟脳軟件北京有限公司董事・上海分公司総経理
提供:ウェネバービジネス