ITエンジニアが一生涯誇りを持って働ける環境を作りたいという思い
ケペルの東京SP事業部がある東京支社は2004年に開設したばかり。まだ3年半ほどしか経っていないが大手企業を相手に数々の実績を上げ、社員規模も拡大している。
http://www.atmarkit.co.jp/job/comp/93keperu/keperu01.html
ケペルの強みは独自の事業内容と事業推進力にあるといっていいだろう。日本最大規模のeコマースサイトや、大手証券会社の外国為替システムの開発など、大手有名企業のシステムを多数手掛けている。また、テレビのニュース映像で映し出される台風情報のモニタ画面や、選挙の得票率がリアルタイムで見られる投票画面のシステムといったユニークなものまで、案件の種類は多伎に渡る。執行役員 東京支社長 高井淳氏は「『僕がこれを作ったんだよ!』とエンジニアが誇れるようなものに目を付けています」と話す。好奇心旺盛でシステム化への嗅覚(きゅうかく)が鋭いのだろう。
特筆すべきは、ケペルがこうした業務を下請けではなく元請けで展開していることだ。元請けができるからこそ、ケペルのITエンジニアは上流工程から一貫したシステム開発を行うことができ、それにより多彩なキャリアパスを築くことができる。
夢のような話かもしれない。だが着実にビジネスを成功させている。その推進力は従来のシステム開発で障壁となる構造や習慣を断ち切っているからだ。業界の悪しき構造と慣習について、高井氏はこう指摘する。
「システム開発案件では複雑かつ何重にも積み重なった発注構造がまん延しています。下請けの立場だと命令をこなすだけになり、ある程度の年齢になると企業はITエンジニアを技術職から外す。これではITエンジニアは使い捨てのようなものです。すると自主的にキャリア伸ばす選択肢がなく、キャリアパスが築けない」と高井氏は指摘する。ケペルには、ITエンジニアが誇りを持って一生涯働ける環境を作りたいという思いがある。「1人1人の社員に、(キャリアの)選択肢の幅を与えられる環境でありたいのです。例えば、ある社員がやりたいことを提案したら、それを会社として支援します。つまり、社員が自主的にキャリアを形成できる環境作りを目指しています」と高井氏は述べる。
成功への最短距離は優秀な人材と元請け
高井氏は、東京支社長として着任したときからずっと、優秀な人材を集めることと元請けで仕事をすることに徹底的にこだわってきた。「ビジネスに必要なものというと、“ヒト、モノ、カネ”といわれます。特にシステム開発の会社では、ヒトこそが財産です。だからケペルでは優秀な人材を採用しています」(高井氏)。優秀というのは、何もIQが高いとか、高学歴で勉強ができるといったことに限らない。優秀の定義について高井氏はこう説明する。「コミュニケーション能力の高い人、目標に向かって情熱やバイタリティを持って臨める人、物事の目的地点までの最短距離が測れる人など、いろんな形がある。例えばプログラミングでは同じゴールを掲げられていても、さまざまなルートを通ることができます。無駄な回り道をする人もいれば、最短のルートを開拓できる人もいます。必要なのは後者です」
もう1つのこだわりが「元請け」である。理由は明確、「元請けだと利幅が高いから」。これで上記のヒトに続きビジネスに必要な要素の2つ目、カネを増やすことを効率よく進めている。実際、ケペルの東京SP事業部は若い組織であるにもかかわらず、大企業を相手に次々と元請けでビジネスを展開している。元請けで利益を得れば、その資金を社員に高い給料で回すことができる。また元請けができる故に社員のやりがいやキャリアアップにもなり、理想的な好循環を生み出している。
ITエンジニアのことを本気で考えているから分かる
日本のシステム開発会社が成功できない理由
高井氏は従来のシステム開発の構造や習慣にとらわれず、むしろそれを打破しようと考えている。まずは現状の構造を高井氏はこう指摘する。「一般的にシステムを構築する会社は3つに分類できます。ハードウェアベンダの関連会社となるメーカー系、親会社のシステムを専門に請け負うユーザー系、それから独立系です。その中でITエンジニアに対して業務に強みを持ったキャリアパスを提示することができる成功パターンを持つのは、ユーザー系のシステム会社のみです。ただし、親会社と親子の関係があるため、ユーザーのいいなりでシステム開発を行わざるを得ない」。ほかの2つ(メーカー系、独立系)も顧客の発言力が高いのは同じである。依頼する側だから当然ともいえるが、システムを提案する側が主導権を握ることは滅多にないのが実情だ。だが海外ではそうとは限らない。
日本では業務主導でシステムが追従するような形になるが、海外ではシステムを刷新し、同時に業務もそれに合わせることも珍しくない。こうした習慣の違いから、日本では構造的にシステムの提案や開発する側は立場が弱いのだ。だからこそ日本でシステム開発を請け負うプロジェクトは成功しにくいともいえる。
そんな状況を打破するにはどうするか。ケペルの出した戦略は子会社を作って、ケペルがそのシステムを請け負うようにすることだ。一見とっぴなアイデアではあるが、ケペルはこれまでの常識を覆そうとしている。
「“ヒト、システム、カネ”、これらがそろえばリスクが低く事業を起こすことができるのです」と高井氏はいう。
開発したシステムからビジネスが生まれる
上記の発言は何を意味するか。ケペルでは優秀な人材をそろえ、元請けで高い利益を出している。これに、システム会社であるケペルには“モノ”に相当する“システム”があり、それが加われば、そのシステムでビジネスが動く会社を作ることができるというのである。
ビジネスからシステムが生まれるのではなく、作ったシステムからビジネスが生まれてしまうとは常識に逆行するように見えるが、単なる構想では終わらない。すでに起業へと踏み出した企業もある。
ケペルでは健康管理系のシステム開発も手掛けており、それが事業部へと成長した。その事業部が母体となって、最近、大手メーカー数社と協業する会社を起業したところだ。こうして生まれたケペルの子会社は、基幹ビジネスのコンサルティングからシステム開発までケペルを頼ることになるので、ケペルとしては手堅く顧客を獲得できる。また、ITエンジニアが顧客のいいなりではなく、顧客と協力してシステム開発に臨む環境を手に入れたことになる。
この医療ビジネスのほかにも近い将来、ケペルの業務から新たに生まれる会社の候補がいくつかある。現在、着々と起業準備をしているところである。ケペルのビジョンは一歩一歩着実に前進している。
このような取り組みは経営的な側面だけにとどまらず、ケペルで働くITエンジニアのキャリアを広げることにもつながっている。つまりシステムを開発するITエンジニアから関連企業の起業や独立という道もあるということだ。「本気でITエンジニアの将来を考え、あらゆる可能性を支援します」と高井氏はいう。優秀な人材、潤沢な資金、システム構築能力という3要素の活用で、アイデアを持ったITエンジニアに起業という選択肢を提供する、これも1つのITエンジニア支援だ。
ITエンジニアらしくないITエンジニア集団
東京SP事業部 システムエンジニア 宮口誠一郎氏
ケペルではITエンジニアの可能性や選択肢が実に広い。幅広い可能性や将来について、柔軟かつ前向きに考えられる人材を採用しているせいか、一見してITエンジニアに見えないITエンジニアが多い。
一般的にITエンジニアというと、まじめで地味な感じのイメージがある。ステレオタイプなイメージかもしれないが、ケペルで働くITエンジニアの面々はそうしたイメージとはどこか違う。きらりと小粋な容姿に社交的な雰囲気が漂う。
例えば2008年4月に入社した宮口誠一郎氏。同氏はコンサルティング会社でシステムエンジニア(SE)を2年経験し、ケペルに転職したばかり。現在はSEとしてECサイトの構築に携わっているが、将来は「経営や起業を考えている」という。そうした将来像がITエンジニアらしくない雰囲気を醸し出しているのかもしれない。
宮口氏に転職した理由を聞くと、「社風が合うと感じたから」と即座に答えが返ってきた。入社して約2カ月となるケペルの印象を尋ねると「明るくてアットホームで、何よりも楽しいです!」とストレートに回答する。
同僚と一緒に遊ぶことも多く、つい先日も同僚とゴルフをしたそうだ。そのことに話が及ぶと、脇からすかさず高井氏が「あれってゴルフなの? 芝刈りじゃないの?」とちゃちゃを入れる。支社長にからかわれながら宮口氏は「ゴルフってことにしておいてくださいよ」と笑っていい返す。ゴルフの成績はさておき、和気あいあいと楽しそうである。
心身ともにリフレッシュできる職場
昨今、企業でのレクリエーションイベントは廃れてきつつあるが、ケペルでは遊ぶことも積極的である。会社のWebサイトで公表しているように、事業部総会からバーベキュー大会やお花見まで社内イベントが充実している。こうしたレクリエーションを通じて心身ともにリフレッシュし、社員同士の結束力強化にもつなげている。
これだけではない。ケペルには独特の組織体制がある。一般的に会社組織といえば、業務分野ごとの縦割り構造になっていることが多いが、ケペルはまったく違う。ITエンジニアはまとめてシステムエンジニア統括部に所属し、そこから6つのグループに分かれている。
このグループを率いるのは「チームコーディネーター」(TC)と呼ばれるスタッフである。塾でいうところの「チューター」であり、いわば指南役だ。現在は6人のTCがおり、そのTCを慕う2名から5名のエンジニアが寄り集まってチームを構成している。一緒に飲みに行ったり、遊んだりもする。社内における仲良し師弟関係のようなものだ。ただこのグループ分けは業務のチームとはまったく関係ないというのだ。
なぜこのような組織にしているかというと、ITエンジニアを孤立させないためといってもいいかもしれない。1人でずっと悩みを抱えさせることのないよう、常に気軽に悩みや困りごとを打ち明けられる先輩や仲間がそばにいるような環境にするためだ。また、チームのメンバーが活発に意見やアイデアをTCに発言できる雰囲気を作れば、会社の風通しもよくなり、新たなビジネスへの機会にも発展する。
実際、ケペルに入社するとITエンジニアは誰か相性の良さそうなTCを選び、そのチームに所属する。「1年経てばフリーエージェントの権利が与えられます。つまり相性次第では転籍可ということです」と高井氏は野球にたとえて説明する。
ではTCはどう選出されるか。ケペルにおけるITエンジニア評価制度に基づいて、ある段階に達すればTCになることができる。後はその人物をTCとして慕う人物が1人でもいれば新チームが生まれるということになるそうだ。
課題をこなすだけではなく、ふかんして仕事を
このTC制度しかり、ケペルではITエンジニアが生き生きと働ける環境が整っている。スキルアップのための勉強会からレクリエーションまで多彩なイベントを頻繁に開催し、よく学びよく遊んでいる。その輪は社内だけとは限らない。時には社外に参加を呼びかけることもある。
先に登場した宮口氏はケペルの先輩に誘われて、ITエンジニア同士のコミュニティにも参加している。基本的にはITエンジニア同士の集まりではあるが、本業とはまったく違ったことで無邪気に盛大に遊んでいる。こうした場からケペルの社風に惹かれてケペルに入社を考える人もいるという。
この課外活動はもともと高井氏らケペルの先輩が始めたものだという。高井氏は「ITエンジニアって、異性との接点も少ないじゃないですか。だからガンガン遊べる場を作りました」と話す。こうした気分転換の場があるからこそITエンジニアは公私ともに充実した生活を送ることができ、そこから仕事との好循環を期待することもできている。
東京SP事業部 コンサルティング&ソリューション部 部長 近藤将人氏
東京支社のもう1人の開設メンバー、コンサルティング&ソリューション部 部長 近藤将人氏は、ケペルのITエンジニア像をこう話す。「ケペルのITエンジニアには手掛けている仕事の意味や内容を意識してもらうようにしています。単に課題をこなすだけではなく、ふかんして全体像を把握し、さらなる効率化や次なるビジネスの可能性も含めて考えるようにするためです。そうして考えていることを、ちょっとしたことでも仲間と共有するのがケペルらしいITエンジニアの在り方です」
会社に魅力を持たせ社員に活力を与え、またそうした環境を醸造していくことで会社の実力を高め、業績へとつなげている。ケペルにはITエンジニアの力を存分に発揮できる環境がある。