「成果主義の失敗」時代を個人で乗り切るには
世界的な競争のあおりを受けて、日本企業では成果主義や能力主義の人事評価制度導入が進んでいる。成果主義自体は導入が人心を荒廃させしかも肝心の生産性がむしろ下がる傾向もあるなど、評判は芳しくなく見直しも進んでいるが、いずれにしろホワイトカラーの生産性向上は企業にとって重要なポイントになっており、ビジネスパーソンは個人の能力を高め続ける必要がある。
http://www.nikkeibp.co.jp/news/biz08q2/572759/
前編に続き、経済評論家で公認会計士である勝間和代氏に、生産性が問われる時代のビジネスパーソンの生き方について聞いた。
――日本の企業では、生産性を上げるために成果主義や能力主義を取り入れることが、ちょっと前に流行のようになりました。しかし結局うまくいかずに有能な人間が流出したり人心が荒廃し、評価につながらない、職場での無償の協力態勢が崩壊するなど、失敗例が多く、むしろ生産性が下がったりして、現在では終身雇用の利点が再発見されたりしています。この失敗の原因はどのようなところにあるとお考えですか。
勝間氏(以下敬称略):日本企業では、形だけ成果主義を取り入れたため、うまくいかなかった例が多いです。個々人で課題と目標を明確化して、それをクリアしたかどうかを評価するシステムと指標作りを、きちんとしないと駄目です。明確に「どういった部分を成果とするのか」定量的な定義が明示できなかったことが原因だと思います。
たとえばある企業では成果主義を導入したものの、評価システムがうまく働かず、70%もの人がA評価になったんです。個々人の成果には時期に応じて波があるはずで本来は存在して当たり前のB評価やC評価は、「非常に悪い評価」という価値観に、会社全体が染まってしまった。こうなると評価する側はBやCを付けにくい。目標を達成すればA評価になれるわけですから、従業員も、年度初頭の目標設定時に目標を低く設定したりするようになりました。当然ですが会社全体としてのパフォーマンスは全く上がらなくなり、業績が落ちていったんです。
――成果主義などが取り入れられてきた環境では、ビジネスパーソンは、効率を上げるため、知的生産スキル向上が求められますね。
勝間:各個人も、会社という組織で安穏として暮らしていくのではなく、どんどん生産性を高める必要があるでしょう。とはいえ、個人のスキルを上げることも必要だと思いますが、それよりも重要なのは、会社の選び方だと思います。どれだけスキルを上げ実力を発揮しても、昇進できなかったり給料が上がらなかったりするようでは、やはり報われません。そういう駄目会社は見捨てて、転職したほうがいいと思います。幸い、昔の社会と違い現在では転職市場が活発なので、ある程度の実力があれば、20代なら大丈夫ですし、30代半ばでも転職できるでしょう。
――転職先を考えたときに、給与面や福利厚生といった項目は数値や文字で出ますから見比べられますが、マネジメントスタイルの比較は難しいのではないでしょうか。
勝間:先に転職した先輩に聞くことが一番いいですね。もう1つ重要なのは、面接相手の上司を見て、そうなりたいと思うかどうかです。会社のマネジメント層や上司を見て、この人たちのようになりたいと思うかどうかは重要です。
もちろん転職する側にも、きちんとしたスキルが必要になります。「どういう仕事をしてきた」というよくあるものだけでなく、多くの人から見て分かりやすい基準を満たしているかどうかです。たとえば資格ですね。
有利に転職しようと思えば、やはり、きちんとした資格を持っている必要があるでしょう。資格自体が転職先の仕事に有利に働くかどうかは分かりませんが、採用する側にとっては、1つの指針になります。だからこそ、資格は持っていたほうがいいのです。