全社IT組織の改革(全5回)第3回:全社IT組織の基本構造
経営者は,人による情報と伝達を含む広義の情報システムを全社的な規模で構築する役割と責任を有しています。これは,内部統制の要求からも明確になりました。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20080424/299967/
それでは,全社IT組織とは,具体的にどのような構造を持つべきでしょうか。
現実にこのような組織を描ける経営トップは,極めて稀です。論を待つまでもなく,そのような組織を提案し,実現する役割と責任を持っているのは,経営者から権限を委譲されたCIOにほかなりません。
ピラミッド型よりもフラット形の組織を!
全社のIT組織は,もっとフラットになるべきだと思います。
第一に,IT組織には,意思決定とITプロセスの実行において,スピードと正確性が求められるからです。経営者・全従業員からのさまざまな要求,外部からのコンプライアンス要求に対応する場合,IT組織が「深い階層の組織」であったとしたら,それだけで不利になります。
第二に,CIOの意志を反映しやすいからです。階層がフラットであれば,経営者の意向を伝えやすく,ITに関して何が行われているのか,IT組織の仕事の課題は何かがCIOに分かりやすい。また,一人ひとりの能力育成にまで気を配るとなれば,IT組織の階層が深すぎることはマイナス要素にほかなりません。
もちろん,フラット型組織を構築するには,リーダーやメンバーの一人ひとりが,IT関連技術とチームの役割に応じた的確な仕事をする「自己マネジメント」力を持っていることが前提となります。
COBITに学ぶ「全社IT組織の基本構造」
それでは,内部統制要求の厳しい時代において,全社IT組織に必要な機能をどのように設計すべきでしょうか。これに関して,COBITが提唱するRACI(Responsible,Accountable,Consulted,Informed)チャートを参考にしない手はありません。
RACIチャートは,ITガバナンスに必要な役割と機能を説明しているものです。これを参考に作成したのが下の図です。
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CIOは,全社的IT組織とIT部門の両輪をバランスよく組織化し,経営者の要求に応えることになります。
それぞれの企業で,この全社IT組織は異なります。唯一,絶対のものはないと思われます。これは経営組織と同じです。
それぞれの企業でこの全社IT組織をどのように設計するのか,具体的な方法については,筆者が講師を勤める,「CIO養成講座」の内容が参考になることでしょう。
全社IT組織の機関設計(機能の最適な配置)ができたら,この組織を「いかに有効かつ効果的に運営するか」という課題を解決しなければなりません。
考え方としては,マネジメントのフレームワーク(運営と管理のための枠組み)をどのようにするかということです。
この課題については,次回に解説いたします。
CIO川柳コーナー
前回の川柳である「転職の サイトに登録 CIO」を説明します。
IT部門も人手不足が続いています。だからといって,誰でもよいというわけにはいきません。CIOであれば,IT部門の人材探しのために,例えば人材紹介サイトなどを一度はのぞいたことがあるはずです。
一方,CIO自身も,自分の能力の発揮場所や処遇の改善などを求めて,転職サイトに登録することもあるでしょう(さすがに会社のパソコンからは登録できないことと思いますが,自宅のパソコンから,こっそり登録している方は多いようです)。
しかし,現実と理想のギャップに悩むことも多いようです。そのような悩みが深いCIOの方には,最大のエールを送りたいと思います(もちろん円満退社が絶対条件です)。
次の句は次回に説明します。皆様も,一緒に考えてください。