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第6回 自分が選んだ会社に自分を売り込む

特定非営利活動法人 キャリアカウンセリング協会

関口みゆき

2007/4/9

http://jibun.atmarkit.co.jp/ljibun01/rensai/cvison06/cvision01.html

キャリアとは、キャリアビジョンとは何だろうか。それを知り、己のものとするとこで、どんなメリットがあり、どう役立つのだろうか。そして、それを転職や自分の転機にどう生かせるのか。それを解説する。

 前回「転職成功の鍵は、その『理由』にある」で、自分にとって納得のいく転職をするためにはどうしたらよいかを考えました。同時に、転職活動の全体の流れと方法を紹介しました。

 今回は転職の成功に向けてのちょっとした作戦や、“技”を押さえてみたいと思います。ただし技におぼれることのないように! 真摯(しんし)な気持ちと意欲で取り組んでこそ、良い結果が出るということをお忘れなく。

■転職に決まったやり方はない

 キャリア相談においでになる20代前半の、特にIT関連を志向する人から、こんなお話をよく聞きます。「経験者採用ばかりで自分は応募できない」「自分は第二新卒で応募しなければいけないのか」「(求人サイトには)会社も仕事もいっぱいありそうだけれど、自分は募集対象者か」。

 それぞれ状況が違うので、自分が応募できるのか、募集企業の条件に当てはまるのかは気になるところだと思います。

 しかし中途採用の場合、応募できる・できないという制限はかなりあいまいです。「経験者採用」とされている場合も、実際に問い合わせると意外と「大丈夫です!」とか「まずはお話を伺って」となることが多いのです。

 とすると、求人を見て迷いすぎてしまう人は、実は自分で応募条件や経験のレベルを設定してしまっていることになるのではないでしょうか。自らチャンスを限定してしまっているともいえます。

 転職には本来「決まったやり方はない!」のです。自ら道を切り開いてチャンスを引き寄せるものだと思って、果敢にチャレンジすることをお勧めします。何をもって経験といっているのか、まずは聞いてみる。そしてそれを応募の過程ですり合わせていくこともできるのです。

■第二新卒? 経験者?

 Web サイトの募集広告を見ていると、最近第二新卒という募集が多くなっています。新入社員の3割以上が3年以内に退職するといわれる昨今ですから、増えているのも当然ですが、そもそも第二新卒を決定するものとは何でしょう。新入社員研修を受けているかということ? 社会人経験があるかということ?

 「第二新卒募集」の場合、求められているのは、一から手を掛けなくても仕事に取り掛かってくれる人。学生という意識から離れて社会人として仕事をしたことがあるかどうかが決め手となります。具体的な経験やスキルがあるかどうかや、正社員経験があるかどうかではなく、短い期間でも社会人としてきちんと仕事に向き合っていたということが伝わればいいということですね。

 また、就業経験のある人でも新卒への応募ができる場合があります。企業の求人をよく見ると、新卒の募集でも、その年度に卒業見込みの人に限定していないことがあります。募集対象が生年月日で示されたり、卒業後 2年以内なら新卒だったりすることがあるのです。一度働いたからといって新卒に応募できないと決まったわけではないのです。

 中途採用は経験者採用ばかりと思っている人も多いのですが、Webサイトの中途採用案件を見てみると、未経験歓迎としている案件がたくさんあります。特定の企業の色に染まっていない人材をポテンシャル採用したい企業も多く存在するのです。

 団塊の世代の退職時期を迎える昨今、経験者募集として細かく応募条件を挙げている募集をよく見るようになりました。ここでのポイントは経験の内容が「細かく」書かれているということです。細かく何行にもわたって書かれているということは、マストな条件もあるけれど、それ以外でも転用できるスキルを持っている人なら会いたいという気持ちの表れでもあります。じっくり読み込まれることをお勧めします。

■求人がないところに応募できるか

 転職を考えて、ハローワークに行ったりいろいろな雑誌・Webサイトを見たりしているのに、「なかなかこれという求人がない」「自分に合っているものがない」。これも多く目にする心配ごとです。

 ポジティブな転職では自分の目指すものがあるわけですから、かえってその希望と求人を一致させることは難しくなるはず。自分のイメージが先行することもあるでしょう。

 もし気になる企業や扱いたい案件を持っている企業があるのなら、ぜひそこには自分からアプローチをしましょう。メールを送る、応募以前に会ってもらうなどで興味を伝え、機会をつくり出すことが大切です。潜在求人を意欲で掘り起こしましょう。

 納得のいく転職ができたという人のお話を聞くと、そのきっかけは本当にさまざま。転職の自分スタイルをつくることこそが、成功への近道といえるようです。

■情報を活用しよう

 いま、雑誌・折り込みチラシ・Webサイト・人材紹介会社・公的機関に、求人情報はあふれんばかりです。ぜひ、この情報を十分に活用してください。

・ハローワークの活用

 ハローワークの求人情報はネットで検索することもできますが、企業名がすべてオープンになってはいません。また検索画面の設定が地域に限定されていますので、隣接地域の情報は検索しづらいという欠点があります。

 例えば埼玉在住で東京も視野に入れている人などは、それぞれの自治体が提供する「就職サポートセンター」というハローワークの大規模版の就職関連施設を利用する方が幅広く情報を集めることが可能です。ハローワークの機関である人材銀行や、若年者対象の施設と隣接していることも多いので、一度足を運んでみるのもよいでしょう。もちろん就業中の利用も可能です。

 ハローワークの求人検索は設定が細かいため、自分の年齢や希望を詳細に入力するとマッチする情報が極端に少なくなります。逆に条件を少し広くすると急に件数が膨大になります。最初は広く(年齢の幅を広げるなど)、その後一覧を見ながら絞るというのが、関連情報も含めて見ることができる方法です。

・こだわり検索

 自分のこれからのキャリアプランが明確である人には、検索エンジンでの「こだわり検索」をお勧めします。例えば経験したい仕事のカテゴリーが決まっているときなどは、そのキーワードや業務内容から検索してみましょう。

 具体的にどんな企業がどんな仕事をしているかについては、業界新聞や雑誌・各企業のニュースリリースなどからも情報を得られます。証券関連の情報、商工会議所の情報、Webサイトでは「ZDNet Japan企業情報センター」なども活用できます。

 企業のページからはリンクをたどり、関連会社を調べてみましょう。またライバル企業・同業の上位企業・その子会社なども調べていきます。求人媒体には出していなくても、自社のWebサイトに採用情報を載せている企業もたくさんあります。

 また、これは裏技的なところがあるのですが、人材紹介会社のWebサイトで社名を伏せている求人情報でも、同業界の人が見ると本社所在地や業務内容でどこの求人か分かってしまうことがあります。その会社には求人があるということです。人材紹介会社を通して応募するのが通常ですが、社名が分かるなら直接連絡をしてみてもいいのではないかと思います。

・人材紹介会社を活用する

 人材紹介会社は多くの情報を持っています。1社だけでなく、数社に登録をして情報を集めるのがよいでしょう。経験とスキルのマッチングを具体的に行ってくれますし、カウンセラーもいます。自分に合った案件を紹介してくれる会社を選び、信頼できるアドバイザーを得ることも活用方法の1つです。



■自分が選んだ会社が自分を選ぶ

 ここまできたらお分かりいただけるかと思いますが、転職が新卒定期採用と大きく異なるのは、「会社が自分を選ぶ」のではなく「自分が会社を選ぶ」ということです。新卒時には自分で選ばないといっているのではありません。転職時では、物差しを握っているのは自分だということです。

 企業は、中途採用に応募する人に新卒のように一定の採用基準や条件を設けすぎては、企業の将来に貢献する有望な人材が採用できないことを知っています。ですから「求人があったから応募した」「選考に通るだろうか」ではなく、自分が選んだ企業に自分という商品をプレゼンテーションして折衝して合意に導く、という意識を持ってください。だからこそ自分がこの時期に、どうしてその企業を選び、将来の自分と企業をどうつくっていきたいのかについて、自らの思いをきちんと伝えることが必要なのです。

■自分が伝わる応募書類を作る

 多くの場合、応募の第1ステップとして書類を持参または郵送することになります。自分を伝えられる応募書類はどのように作成したらいいのでしょうか。いくつかポイントを挙げてみたいと思います。

・第一印象にこだわる

人事担当者はかなりの数の応募書類を見ることになります。ですので書類の第一印象は大切です。

きれいであること

折り曲げられていたりばらばらであったりでは、読む気もなくなります。書類をそろえてクリアファイルに入れ、カバーレターもつけて角2サイズの封筒で送るなど、外見にもこだわりましょう。

写真にはこだわれ

第一印象を良くするため、写真の出来は譲れません。意欲の伝わる写真を用意しましょう。

・書式は自由

書きやすい書式で

一般的な履歴書の場合、左半分はルールに基づいて書くことが求められますが、文具店で売っている履歴書でも書式はいろいろ。自分が書きたいことを表現できる書式を選びましょう。Web上のテンプレートを使っても、それを基に自分で作ってもよいのです。ただし、公的な書類であるという意識は大切に。

職務経歴書全体で自分らしさをコーディネイト

書類は、自己理解や志望先の情報なくしては作成できません。過去にこだわるのではなく、これから先にどう働きたいのかを見据えた書類にしましょう。その仕事に就いたなら、自分のどんな特徴や過去のどんな経験が生かせるのかを意識して作成しましょう。その経歴書が面接の内容につながっていくことも想定しておきます。

・先方の聞きたいことを意識する

自分が伝えたいことを書くことは大事ですが、相手がそれを聞きたいかどうかもきちんと理解しておく必要があります。

採用に関して聞かれることは、集約すると以下の3点です。

* 自分はどんな人か

* いままで何をしてきたのか

* これからどうしていきたいのか

企業はこの3点を応募書類で、面接で知りたいと思っているのです。

■面接対策

 面接はあなたを売り込むプレゼンテーションです。提出した資料に基づき、魅力的な本当の自分を伝えましょう。

 ポイントは以下の3点です。

・準備は万全に

 面接会場へのアクセス方法・服装・持ち物の確認、提出した書類の読み返しなど準備は万全に整えましょう。ゆとりを持った行動を。

・第一印象で決まる

 第一印象は合否の大きな決め手となります。身だしなみと自分らしい態度の表現で、この人と一緒に働きたいと思ってもらえるように。

・想定質問対策を

 プレゼンテーションには質問対策は欠かせません。自分に興味を持ってもらえたとしたら多くの質問がくるのは当然のことですね。十分準備をしましょう。

 最近多いのは逆質問です。「何か質問はありますか」です。これもやはり、自分が入社することを考えれば聞きたいことはたくさん出てくるはずです。

 面接官はこの質問で、あなたの意欲や不安をつかもうとしています。

 まずは待遇などを聞くのではなく、自分が働くうえで大切にしていることを考え、それを大切にしてその会社で働く自分を想定してください。聞きたいことが見えてきます。

■握手をする前に

 いざ入社が決まると、さらにいろいろ聞きたいことが出てくるものです。「最初からうるさいやつと思われたくない」と、気になることもうやむやにして入社する人も多いのですが、転職だからこそこのステップは欠かせないはずです。内定をいただいたら、御礼かたがた一度時間を取ってもらいましょう。いい関係でスタートしたいからこそきちんとした話し合いの場を持ちたいと伝えてください。

 転職という場では、志望する企業を理解する努力のもと、自分の意思をどう継続して伝えていくかという自分主体の活動が、納得できる転職を果たすための“技”といえるのではないでしょうか。

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