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キャリアチェンジのリスク考

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キャリアチェンジのリスク考

このまま現職場に留まるべきか、それともここらで異動や転職を仕掛けるべきか…。そんなとき、リスクとチャンスの両面を考えなくてはならない。チャンスは楽観的な大風呂敷でもかまわないが、リスクは多少なりとも綿密に考えたほうがいい。ここでは、5つのリスクを考えてみよう。

チャンスとリスクは事の両面

世の中、何事においても、大きな成長、多くの収穫を得ようと思えば、なんらかの危険を冒して行動に出なければならない。つまり「虎穴に入らずんば、虎子を得ず」、「No risk, no gain.」なのだ。確かに、一方では、何もせず安穏と構えていて「タナからボタモチ」ということもあるだろうが、この変化の激しい時代、ボタモチを待っている間にどんどん自分が不利な状況に追い込まれてしまうことも充分に起こりえる。したがって、現代の生活にあって私たちは常にアタマを働かせて、ここは留まる勇気を持つべきなのか、それとも思い切って行動を仕掛けるときなのかを都度都度に判断していくことが必要になってくる。

平成のビジネスパーソンのキャリアづくりもまったく同様だ。自分の仕事環境に満足がいって、うまくキャリアが回転しているときは、そのままの勢いにまかせていけばよい。しかし、長い職業人生においては仕事環境が自分に合わなくなる、悪化する、停滞する、先が見えなくなるなどといった状況に出くわすことは往々にしてある。そんなときは、キャリアチェンジを仕掛けるべきか、それとも仕掛けずに留まるべきかを判断しなくてはならない。

変化を仕掛ける場合には、もちろんその先に大きなチャンスが開けるかもしれないが(=下図C2)、同時にそれ相応のリスクを負わなければならない(=R2)。また一方、変化を仕掛けずにじっと留まっていることで次のチャンスがめぐってくる可能性もあるが(=C1)、同時に変化しないことで自分のキャリア環境が地盤沈下をはじめるリスクもある(=R1)。

私たちビジネスパーソンは、下図のように現状の仕事環境に留まるか/動くか(stay or move)を、そのそれぞれについてのチャンスとリスクを総合的にてんびんにかけて判断するのである。


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認識すべき5つのリスク

さて、そうした総合的判断をする場合、特に重要となるのはリスク認識のほうである。キャリアづくりは自分の生活・人生に直結しているだけに、華々しい大勝ちを狙うよりも、「負けない勝負」「マイナスを最小限にして前進・改善を得るキャリア」を最優先させることが肝心だからである。そのために、まず何よりもリスクを充分に意識することだ。ここでは、キャリアチェンジを行うにせよ、行なわないにせよ、発生するリスクの主なもの5つを挙げておこう。

(1)経済的リスク

一般的に転職はコストがかかるものと認識したほうがいいだろう。転職活動の労力と時間、転職時のさまざまな手続き、さらに転職のタイミングによって現職場からボーナスの満額が受け取れない、勤続年数の短分化によって退職金・年金の積み上がりが小さくなる、転職による住居移転があればその引越し費用が発生するなどいろいろある。また、転職先が強い成果報酬型の賃金制を敷いている場合、年収が上がると思って転職しても、いざ新天地で結果が出せずに年収ダウンしてしまう可能性もある。それらが言ってみれば転職の経済的リスクである。

しかし、もし現状、自分がみずからの能力や貢献に対して安い給料に留まっていると思うのであれば、そこでガマンしていることもひとつのリスクである。世の中には、あなたの能力をもっと高く買ってくれるところがあるかもしれないのだ。

(2)能力適合リスク

仕事というのは「聞くとやるとで大違い」なことが多い。社内異動にしろ、社外転職にしろ、次に任される仕事・職種の内容を聞いて、自分が納得をしてキャリアチェンジに「GO」をかけるわけであるが、実際のところ、自分の能力に本当にマッチするかどうかはやってみないとわからない。そこにリスクが発生する。積極果敢に職変えをしてみたものの、この仕事は「なんだかちょっと違う」といって空振りに終わるケースも起こりえるのだ。

しかし、だからといって、もし現職が自分の能力とミスマッチである場合、それを放置していることにもリスクがある。自分の能力を眠らせてしまうというリスクであり、はたらきがいを減じるリスクである。

(3)人間関係リスク

転職をすることは新旧ふたつの職場で人間関係のリスクを負う。ひとつは新しい職場でうまく人間関係が構築できるかというリスクと、もうひとつは、転職して去っていくことで現職場の人間関係が気まずくなってしまわないかというリスクである。

また、キャリアチェンジを仕掛けないで現状維持することにもリスクは生じる。固定化した人間関係は馴れ合いを生みやすいし、狭いネットワークに閉じこもりがちになることは自分の成長機会を少なくすることにつながるからだ。

(4)健康的リスク

転職によって仕事の環境を変えることは、心機一転ということもあるが、その準備段階、実行段階においてかなり精神的、肉体的に負担をかけることになる。そうした意味で、転職時は健康を損なうリスクが高まるのが事実である。

他方、現職の環境がストレスに満ちていて、それでもしばらくは様子見を決め込んだ場合も同様に、健康にリスクが生じるものである。仕事環境への不満や不安、上司との関係悪化などにもかかわらず、現状に留まって次のチャンスを待つことは、相当に精神的、肉体的な負担を強いる。

(5)年齢リスク

キャリアチェンジを仕掛ける、仕掛けないに関わらず、年齢が高くなればなるほど、リスクは大きくなる。なぜなら年齢が上がれば、家族のしがらみも大きくなってくるし、能力的な柔軟性や伸びしろも限られてくる、また体力的にも無理がきかなくなってくるからだ。

このように、動くも留まるも、どちらにしてもリスクは存在する。しかし、リスクを恐れる必要はない。リスクは適切に認識しさえすれば、自分を推し進めてくれる力になるのだ。そして何よりも大事なことは、リスクを凌駕するほどのチャンス(=大いなる目標・夢・思い)をそこに見出すことだ。

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